2016/01/12 ~4日目~




AM6:00の民主首都、平壌。

香ばしいパンと目玉焼きともお別れ。


朝7:00頃、ロビーで空港への車を待っているがなかなか来ず、ガイド2人がどこか慌ただしい。


どうかしましたか?
男G4 迎えの車がトラブルで来れなくなりました。
え~!
女G3 寒さで車の不凍液が凍ったようです。
男G4 なのでタクシーで空港まで行きます。


共和国が発展してタクシー社会になった事に感謝する他無い。
ツアーの車は運転手さんが自宅から乗ってくるらしく、凍ったのを
なんとかしようとしたが間に合わないとの事。






そういえば、エボラの時は何をしていましたか?
男G4 国内旅行の手伝いでした。


日本製品は高いですか?ラーメンとかたばことか。
男G4 ラーメンは国内産の2倍、たばこは2~3倍します。
辛ラーメン売っていますか?
男G4 昔は開城から入ってきていましたが今は見かけません。共和国産のラーメンも美味しいですよ。
中国産ほど味が濃くなくて良いです。


女G3 次はいつ来られますか?
お金が貯まったら、ですね・・・。また来ますよ。






空港まで20$だったとの事で、それは旅行会社持ち。空港で出国の紙にガイドの指導の下に記入。
またの再開を誓ってチップと共に別れを告げた。手荷物預けの列は混雑しており、日本人?らしき
若い人達の並んでいると前の人達が囁くように"イルボン、イルボン(日本)"と言っている。
彼らはどうやら在日の方々で、やはり共和国を訪れる私のような日本人が珍しいらしい。



↑ソルマジ公演という新春行事で訪れていた在日の中学生達で空港は混雑。偉大な金正恩元帥様も
観覧されるので皆練習にも気合が入る事だろう。動画で指導している女性が「今まで祖国から愛を
たくさん受けたでしょう?それを形象(表現)してください、祖国で学んだ事を形象してください。」
と熱心に教えている。この動画の続きの(5)の動画で練習の成果が見られる。それにしても、
祖国から受けた恩・・・、日本人はそんな事を考えた事がある人はどれくらい居るだろうか。
高い税金を取られて年金も目減り、残念ながら恩とは真逆の事しか思い浮かばないが、
比較的平和な国で暮らせている事自体を恩と捉えるべきなのか。

子供達と同時に動画に出ていた引率の美人指導員の方も同じ帰りの飛行機だった。
正直言うとこの団体の人達が在日なのか中国人なのか初めは見分けがつかなかった。
というのも彼らの会話は全て朝鮮語で行われており、その会話の中でたまに入る日本語を
聞いてやっと在日の学生さん達である事が分かった。



さっきの子供達に囲まれて賑やかな機内。さらば平壌。



機内でこの映像が流れており、曲目は「お会いできて嬉しいです」から「我が国が一番よ」に続く。
在日子弟歓迎用の映像なのだろうけど、彼らより私の方が感動。なんという味な演出!


北京国際空港に到着後、ターミナル移動でバスに乗ろうとすると、中にいた黒いジャケットの
係員らしき小太りの男性から航空券を見せるように言われ、親切にも私の荷物を持ってくれた。
しかしよく見るとスタッフ証らしき物も身につけていない。もしやこれが公安か・・・、と思いつつ
バスの座席に座りながら目的地に着くのを待つ。バスが着いたら彼が私の荷物を持って
チェックインカウンターまで来ようとしたので断ろうとすると「トランスファーサービス」などと
言ってきた。100%怪しいサービスの押し売りだと気付き、中国語で「メイクワンシ」と告げると
彼は苦笑いしてどこかへ去っていった。このように中国は油断も隙も無く、北朝鮮の方が確実に
安全と言えるだろう。



11:11、北京国際空港到着。今回は機内食が無かった、残念。
北京国際空港のバーガーキング
これぞ資本主義の味、これはこれで美味い。



~まとめ~

今回は初めての冬の北朝鮮という事で、いつも見ていた景色とは違った表情の朝鮮を見る事ができ、
また想像以上の寒さを体験できたと共に、朝鮮民族の芯の強さを育んでいるのはこの寒さであるという
話も十分理解できた。
雄大な自然もさることながら特殊な社会構造が織り成す独自性は良い悪いはともかく群を抜いており、
小国ながらも核兵器により超大国に本気で挑戦し続ける外交姿勢は国際社会で絶大な存在感を放って
いる。前回同様私以外にも多くの外国人が共和国を訪れており、日本がサムライの国なら北朝鮮は
"主体"、Jucheの国として、今後も不滅の観光立国として輝き続けるだろう。


核に付いては問題化されているが、大国に囲まれている以上持たざるを得ないのは理解できるし、
持つなという周辺国が核を持っているので説得力が無く、最近はアメリカ版暴れん坊将軍のトランプ氏が
日本の核武装についても触れたりしており、そのうち日本が核を持てば北朝鮮は問題とされなくなり、
北朝鮮はただ時代を先取りしているだけであり、かの国の倍を保有すれば相手は何も言えなくなるだろう。
国家間が同じような力のバランスの場合に戦争やいざこざが起きるが、明らかに力の差があると戦争は
起きにくい。その証拠に韓国・北朝鮮は日本にはあれこれ言うが中国・ロシアには決して何も言わない。





ひとつ残念なのは、拉致問題が全然進展していない事で、新しい指導者になれば瞬時に解決するかと思いきや、
甘かった。よく考えれば最初の外交が最高尊厳の謝罪から始まるような事はあり得ないのだろう。
そのような事を危惧して周囲が止めている可能性もある。その中で、誰も傷付かないような拉致被害者返還の
筋書きがあるとすれば・・・





このおっさんのせいにするしかない。偉大な金日成同志、金正日同志だけでなく、敬愛する金正恩元帥にも
背いて外部勢力の意向で拉致被害者を隠蔽し、朝・日の外交問題の解決を妨げていた・・・、という事にすれば
良い。外部勢力はどことは言わずにその文言を入れる事でその大国による共和国介入のけん制も可能となる。
北朝鮮が方法に悩んでいるならこういった落としどころプランも日本側から提示する必要があるだろう。

ロシアとも早く友好を結び、北朝鮮友好国のモンゴル、シリアとも連携し、地球儀を俯瞰してあらゆる可能性を
見据えて問題解決される事を切に願う。

記:2016/05/06

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外務省:北朝鮮に対する渡航情報
※訪朝時の持ち物や注意事項は2013年度参照
※冬の朝鮮は手袋、ハンドクリームがあった方が良く、スノースパイクは使わなかった。耳あてはあれば良い程度。



19:45着、お疲れ様でした。



◆ 日本/北朝鮮のライフスタイル比較 ◆
項目
日本
北朝鮮
住居 自由に住まいを選択できるが、家を買うにも借りるにも当然費用がかかり、都会ではホームレスの問題も存在。 無料。ただし住居選択の自由は無く、政府(朝鮮労働党)が決めた場所に住まなければならず、身分(出身成分)が低い、または思想に問題ガあるとされた場合は生まれた場所から出られない。在日の帰国者達は後者に位置付けられており、日本から国家に寄付をする親族が居ない場合は最初に住んだ場所から出られない模様。党が居住を決めているはずだが何故か児童の浮浪者が存在し、徒党を組んで泥棒したりするので犯罪は少なくない。
食料 自分で稼いだお金でやりくりして、稼げない人は食えない事もあるが仮に貧乏でもそこそこお腹一杯にする事は可能だろう。 無料の配給制。地方都市だと量が不十分なので闇市場で不足分を買う事も。それができない時は常に空腹の過酷な生活を送る事になり、地方から平壌に訪れている人を見ても皆小柄で背が低いのでそうなる事は間違いない。
医療 高い水準の医療と薬で大概の病気は治り、有料で誰でも等しく治療が受けられる。難病の場合は貧乏だと治せない事も有りそう。 無料だが高いとは言えない医療水準で、身分が低いとそもそも十分に観てもらえず手遅れになるので日本では普通に治る病気(結核、破傷風等)でも死ぬ事もある。高い身分や高い地位に付けば診察順が早くなる模様。
移動 自由に国内国外移動可。 国内でも職場での許可制。身分が高い、または相当仕事で功績を挙げないと認められない。海外渡航はなおさらで一般人にはほぼ不可能。
就学/就職 本人の努力次第で将来を選択でき、どのような仕事にも就ける反面、ニートや生活保護が社会問題に。 党が決めるので職業選択の自由は無いが、仕事は全員に割り当てられるのでニートは居ない。これもやはり身分が重要で、高い身分でないと上位の希望の学校や仕事にはありつけない。
勤務体系 概ね週休2日、仕事が終わらないと休日出勤や残業が発生。 案内員同志が言うには仕事は全員定時で終わって休出無し、週休1日で土曜午前は仕事、午後は各職場で政治・思想学習。ここからは本で読んだが日曜日は休みだが政治集会や市内清掃等の奉仕活動に半ば強制参加。というのも出席が少ないと思想性が低いとみなされ、最悪は都市部から地方に追放の憂き目に。
社会的成功 良い大学を出て高収入または安定した仕事に就く。大体は努力でなんとかなる世の中で、収入を上げる為の努力や個人の幸せの追求を行う。 良い暮らしを得る為には党員になる必要があり、地方での農作業手伝いや建設労働で社会主義における自己犠牲精神を党に認められなければ党員にはなれないので、まずはそこを目指す事になる。軍隊は党員への近道なので男女共に希望者も多い。そしてやはり身分が良くないと党員は難しい。この国では身分が最も重要な要素で、生まれた時点で将来が決まる。また個人の利益の追求は利己主義で悪とされ、相互扶助で他人の為に生きなければならないが、どこまで助け合いが行われているかは不明。
民族性 言いたい事があっても言わない、またはやんわり諭し、波風を立てないのを良しとする。 生活総和というシステムで同級生や同僚の欠点や問題点を集団の中で徹底的に批判し合う。嫌いな人が居たらこれで徹底的に叩き落し、仲の良い人とは予め批判する内容を決めておいて打ち合わせ通り批判を行うという形式主義的な総和も存在する模様。
宗教・思想 自由に選択可能。 主体思想の習熟が必須で、国民全員が金日成・金正日教の出家信者と言える。偉大な首領を高く戴いて、終生その恩恵をひとときも忘れる事無く一生を生きなければならない。学生時代は勿論社会人になってからも常に主体思想の学習と実践が求められる。
結論 こんな自由な国は無い。 日常生活がほぼ無料なのは良いが身分制と移動制限のデメリットが勝る。しかし本人の得意分野を政府が集中して伸ばしたり、国家の為に尽くした人に手厚い生活を保証する仕組みは良い事だと思う。日本でも金メダルやノーベル賞を取った人は政府が生活の面倒を見ても良い気がした。党と首領、身分、そして思想が何よりも優先され、自分の利益の為ではなく集団の為に生きるという斬新過ぎる社会に外国人は適応は難しいかもしれない。




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↑推定69歳。元気なうちに日朝友好に向けてなんとか頑張って欲しいところ。