2011/08/14 ~2日目前半~




高麗ホテルの朝食。あんぱんに目玉焼き、お粥、ヨーグルト、豆腐、ナムル等。これで全部かと思いきや・・・

カレイが出てきた。香ばしく焼けている。



更に肉じゃがっぽい料理。いずれもなかなか美味しいけど食べきれない。

醤油があるのが意外。どのテーブルにもあった。



朝食会場のペットボトルのミネラルウォーターを持参し、出発。 昨日渡せなかった麺とカレーのお土産を渡した。「オヌルド チャルプタッカムニダ」(今日も よろしくお願いします。)と言って煙草を男G、女G、運転手に2個づつ分配。共和国では女性は吸わないらしいので、明日は別の物を考える事にした。

共和国と南朝鮮の国境地帯である板門店へ。車で片道2時間。




↑2012/10/06追加:開城へ向かう車中にて


最近は平壌にバラを植えるのが流行っているのですか?将軍様がバラがお好きだとか。(※中央日報のニュースより)
男G そういう事はありません。どこで知ったのですか?
中央日報という南(韓国)のニュースです。
男G そーですか。知らないですね。
昨日のアリランですが、日帝(大日本帝国)との戦いみたいなシーンが多くて私のような日本人にはちょっと見づらかったです。
男G はっはっ、そうですか、昔は日本の植民地でしたからね。
ミアナムニダ(すいません。)(※無事に帰る為、とことん謝罪外交。)
男G はっはっは、Mさんがそういう事をした訳ではないですから謝る必要はありません。
そういう歴史もありましたが、これからはお互い前を向いて、朝日友好の道を考えていきましょう。
そうですね。
(※これは意外な発言! 旅行中ずっと謝罪を要求されるかと思いきや、意外にもオトナな発言が出てきた。
少しホッとした。日頃のニュースとは全く異なり、これは一番びっくりしたかも。旅行者向けのリップサービスなのだろうか、いや、邪推は止めよう。)
男G 日本と我が国では国交はありませんが、民間の間では仲良くしたいと思っています。我々は旅行業ですし、
日本のお客さんにももっと来て欲しいですから。
そうなんですね。今回は色々質問を用意してきました。順に聞いていきます。
男G どうぞ。
携帯は海外にも通じるのですか?
男G 国内だけですね。
デノミの影響は大丈夫ですか?
男G 無いです(きっぱり)。
ファビョン(火病:韓国の病)はこちらにもありますか?
男G ファ?ビョン?ですか?知りません。それは何ですか?
南の精神的な病です。そうですか。
男G 私の親が医者でしたが、聞いた事無いですね。
学校では薬草摘みは大変でしたか?(※アジアプレス・ネットワークのニュースより)
男G そういうのはありません。個人的に誰かが病気だから採りに行くというのはあるかもしれませんが。
共和国ではとうもろこしとご飯を一緒に炊くのですか?
男G そういう事もあります。その方が一緒に栄養が取れますからね。
なるほど。そういえば朝食の時にテーブルに醤油がありました。醤油は日本だけかと思っていました。
男G 醤油は使いますよ。こちらにも醤油工場がありますから。
安重根(日本の初代総理大臣を殺害した朝鮮の人)は共和国でも英雄ですか?
男G 英雄ですよ。
しかし個人で動いた為、主体思想に反していますね。(主体思想:偉大な首領の元で個人が未来を切り開くという共和国の思想。)
男G そうですね、一人でやってもそれは長続きしませんでしたからね。
大韓航空を爆破した金賢姫も英雄ですか?
男G 金?誰ですか?
キム・ヒョンヒです。
男G 知らないですね。大韓?南ですか?
そうです。
男G いつの話ですか?
30年前くらいでしょうか。
男G はっはっ、そんな昔の話は分かりませんね。
そうですよね、ちょっと古かったですね。
(※1987年の北朝鮮が起こしたテロ事件と言われているが、実行犯が凱旋できなかったので共和国内ではニュースとして取り上げられなかったのだろうか、
また、知らないふりをされたのか、それは分からない。さらに古い植民地時代の話は良く知っているのに。)
(男Gの胸に輝く金日成バッジを見て)そろそろ金正恩(金正日将軍様の息子)同志のバッジも配られるのでしょうか。
男G しばらくないでしょう。将軍様がまだご健在でいらっしゃいますから。
それもそうですね。金正男氏についてはあまり共和国では語られないのですか?
男G (男Gは静かにうなずくだけだった。)
(※反体制な言動が多い正男氏はもはや厄介者扱いなのかもしれない。個人的には好きなのだが。)
ポチョンボチョンジャアクタン(普天堡電子楽団:共和国の音楽ユニット)は人気ですか?
男G あぁ、最近はもうやってませんね。(※解散したのかも。)
ウィデハン キムジョンイル チャングンニム ケソヌン、ロスマンジュ、タンヒル、オーオーオールル チョワハシヌンゴッ ガッスミダ。
(偉大なる 金正日      将軍様におかれましては、ロスマンズ、 ダンヒル、555が         好きなようです。) ※中央日報の記事より
男G うんうん。
しかしロスマンズは色々探しましたが見つかりませんでした。
男G そうですね、こちらでももう見かけません。
(免税店にも無いし近所のたばこ屋の人に聞いたがもうなくなったと言っていた。ネットで調べたら廃止銘柄となった模様。
1本が細長くて気品の漂う逸品。私は吸わないのでよく分からないが箱だけ見ても渋い。)
ヘダンファ(大衆的な安いたばこ)という銘柄はまだありますか?千里馬(高めのたばこ)とか。
男G 昔の物ですね、今は無いです。千里馬ももう無いです。
こちらの人は何才で結婚するんですか?
男G 25くらいですね、30だと遅いです。女Gさんもそろそろ・・・
女G (苦笑)
男Gさんは結婚してるんですか?
男G してますよ。
どこで出合ったんですか?
男G 私はお見合いですね。
(街中で道路や橋、建物の工事が行われているのを見て)工事している人の中に軍人が混ざっていますが、軍主導で行われているのですか?
男G そうではないです。民間の作業を軍が手伝ったりする事もあります。
男Gさんも昔は軍に行かれたのですか?
男G 私は行っていません。目が良くないので。
(※国民皆兵ではなかったのか。行かなくても良いという事は、もしかしたらこの人は党の大幹部なのかもしれない。)
ヨンウンジョク チョソニミングン チャンビョンドゥレゲ ヨングァンイッスラ!
(英雄的    朝鮮人民軍   将兵諸君に      栄光あれ!)
男G それは金正日チャングンニムのお言葉ですね?
そうです。ご存知でしたか。
男G 知っています。あのパレード(1日目の左端の動画)は世界に生放送されていたと思います。



途中のサービスエリア。
私  < 共和国は空気が澄んでいますね。
男G < 山の中ですからマイナスイオンが出てて良いですよ。
私  < そんな単語良く知ってますね(笑)。

中国からの団体が売っているお土産を選んでいる。紹介が遅れたが、手前左が男G、右が女G。女Gが男Gを呼ぶときはドンジ(同志)と呼んでいた。



さらに移動。

ずっと畑の風景が続く。たまに牛やヤギも見かけた。車は全然走っておらず、たまに軍のトラックが走っていた。時々軍人と民間人が道路の側溝の工事をしていた。


この畑には何が植えられているのですか?
男G とうもろこしです。
こんなにたくさん植えられていたら輸出もしているのですか?
男G 輸出は無いです。まずは国民に食料が行き届くようにしないといけませんから。(※まだまだ食糧事情は厳しいようだ。)
私が質問ばかりしてしまいましたが、私に何か質問があれば聞いてください。
男G そうですね。では、どうすれば日本と我が国で国交が回復すると思いますか?
んー・・・、(※無理、とは言えないし・・・、ひとまず↓)
時が経って拉致問題が風化すれば有り得るかもしれません。
男G そうですか。しかし日本も朝鮮統治時代にたくさん朝鮮人を連行しましたからね。数が違いますから。
そうかもしれませんね。
男G 日本政府がそういう行為を認めず、謝罪もしていませんからね。
んー・・・、そうですか。日本の統治で良かった点は無いのですか?
男G 無いですね。マイナスの方が大きいですから。
そうですか。
男G 誰が総理になれば朝日友好の道が開けそうですか?
小沢一郎だと思います。
男G 小沢さんですか。(※知っているようだった。)菅直人さんは人気ありますか?
残念ながら人気は無いです。もう辞めると言っています。訪朝するかも、というニュースがありましたが、どうなるか分かりません。
男G 原発はどうですか?
落ち着いてきていますが、あと10年以上は処理に時間がかかるでしょう。
男G そうですか。我が国の朝鮮人参は放射能の予防に効くと言われています。
ほほぅ、そうですか。朝にホテルの朝食会場に居た日本人は福島から来たと言っていました。
男G その人は朝鮮人参を食べた方がいいですね。
そうですね(笑)。豊臣秀吉と昭和天皇、どちらが嫌いですか?
男G 秀吉ですね、こちらに攻め込んできた張本人じゃないですか。
そうですか。やはり一番嫌いな国は南(韓国)なんですか?
男G アメリカですね。南はアメリカに操られていますからね。(※おそらくアメリカ>日本>韓国なのだろう。)
傀儡ですか。
男G そうです。
南北統一は共和国側の考えは武力を用いた統一以外有り得ないと聞いています。
男G いえ、あくまでも平和的な統一を望んでいます。戦争して国が灰になってしまったら意味が無いですからね。
教育は反米反日なのですか?
男G 特定の国に対して反対とかそういう教育はありません。
そうなんですね。色々とこちらでの報道と全然違いますね。
男G 百聞は一見にしかず、ですね。日本のニュースは全部アメリカを介して入ってきていますからね、本当ではないこともあるでしょう。
そうですね。(※冒頭の平壌美化の薔薇の話もしかり、そのような偉大な将軍様にまつわる良い話なんかは喜んで言ってきそうなものだったが違った。
確かに日本での報道を全て鵜呑みにするのは誤りなのかもしれない。)
今回は、南の映画を観て板門店を見たいと思いました。
男G 「JSA」ですか?
そうです。知っているんですね。観た事あるんですか?(JSAとは、北の兵士と南の兵士の悲しい運命の友情を描いた韓国映画最大のヒット作)
男G Joint Security Areaですね。観た事はないですが内容は知っています。
あの映画に出てくる共和国の兵士が本物みたいで迫力がありました。(ソン・ガンホの名演は必見)
男G はっはっ、そーですか。
あの映画みたいな事は、あると思いますか?
男G 無いですね。
そうですよね。あるわけないですね。(※有るなんて言えないだろう。愚問だった。)





いま日本のテレビ局は南朝鮮のドラマや歌ばかり流しています。
男G KARAですか?
そうです。よくご存知で。
男G KARAとAKB、どちらが人気ですか?
AKBですね。聞いた事あるんですか?
男G 聞いた事は無いです。
そうですか。私が男Gさんを同志(ドンジ)と呼ぶのはおかしいですか?
男G いえ、構わないですよ。こちらでは年上の人には同志と呼びます。(年下には別の呼び方を教わったが忘れた。)

男G 責任を持つ、と、責任を取る、は違いがありますか?
どちらも変わらないと思います。(※な、何かあったのか・・・(笑))
勉強熱心ですね。
男G 人間は一生勉強ですから。(※なかなか日本人でも言えないだろう。感動した。)





男G もうすぐ着きます。気分はどうですか?
緊張してきました。
男G この辺は非武装地帯なんですが、アメリカが色々兵器を持ち込んで緊張状態にしています。
そうですか。
男G もし、万が一南から銃弾が飛んできたら、私の体でMさんの盾となってお守りしますよ。
ええっ?(笑)
男G 本当ですよ。(※本気らしい。)



板門店到着。中国人団体客が先着。軍人が立ち並んで緊張感のあるこちらでは1人で回るよりは集団で回ったほうが心強いかもしれない。



ここでの注意点は、案内役の軍人以外の軍人は撮影してはならない事のみで細かい注意は無い。
別の旅行者が軍人を撮影しようとするとすかさずガイドがさえぎっていた。




売店のジュース。POKKA強し。

右の中国人客のガイドさんが軍人の説明を翻訳して中国語で説明。私は私の女Gさんに翻訳して説明してもらう。軍人は真夏でも全員この長袖、熱中症が心配だが、偉大な金日成主席が考案された主体戦法の訓練で鍛えに鍛え抜かれた彼らには無用な心配だろう。



軍事境界線。兵士の目つき顔つきはピリピリしている。おっかないし彼らを南側から見に来ようとは思わないが、こちらから見る分には何故か頼もしく感じる。この辺は非武装地帯となっているが、両軍の兵士共に短銃は携帯する模様。兵士達からピリピリした雰囲気が伝わってくる。

私  < 南側の兵士が居ませんね。
男G < (建物の上に)監視カメラが付いてから居なくなりました。(※もう事件もそうそう無いのだろう。)



水色の建物の中へ。軍人が「今は北側からしかここには来れませんが、統一されたら自由に出入りしてください。」と言って場を和ませていた。この人カッコいい。男Gの勧めで後で彼と一緒に写真を撮った。

共和国と韓国との境界線。詳細は映画「JSA」をご覧ください。この建物の中のみ、共和国と南朝鮮の国境を越える事ができる。よって、今回の旅で前泊の中国、北朝鮮、韓国の3国の地を踏んだ事になる。お得すぎる。



また別の中国人団体客が入場。

休戦協定調印の館。







板門店にて男Gがくれた茹でとうもろこし。少し痩せているが味は悪くない。もう少し肥料が必要なのかも。日本では醤油をかけて食べる事を伝えたが、「こちらもそうです。」とは言っていなかった。

高麗博物館へ移動。開城の町では人が表に出て往来が激しかった。今日は日曜日なのに砂利道を舗装したり草をむしったりする地元の人が多い。



高麗博物館。遥か昔の食器や道具等が並べられていた。

男G < マイナスイオンが出て良いでしょう?


共和国は儒教の影響を受けていますか?(南朝鮮は儒教の影響がある。)
男G 今は無いですね。
男G 共和国にはキリスト教もあります。信教の自由が認められていますからね。
布教している人は外国の人ですか?
男G いえ、こちらの人です。



高麗博物館から近いところにある外国人向けレストランへ。

ここはガイド達と別室で1人で頂くが、食べ切れない。手前右の辛いスープが美味しかった。


ここでひとつカルチャーショック。
食べ終わって店内のトイレ(大)をつかおうとしたが、日本の洋式ではなく、和式っぽいトイレで壁の上の方にあるタンクの紐を引っ張ると
水がちょろちょろ流れる仕組み。水の勢いが何か弱いし、もし流れなかったらどうしよう・・・、と思ってトイレを我慢した(まだそこまで困っていない状態)。

男G トイレ、行かなかったんですか?大丈夫ですか?
ケンチャナヨ(大丈夫です)。
男G 本当に大丈夫ですか?お腹壊しましたか?
そうではないです、大丈夫ですよ。後でいいです。トイレが日本と違ってちょっと分かりませんでした。
男G トイレが・・・、ふーん、そうですか。
さっきは食べ切れませんでした。
男G 日本では料理を残したらダメかもしれませんが、こちらでは残してもいいですからね。



近くの善竹橋へ移動。高麗時代の忠臣が暗殺された場所とのこと。



男G トイレ、本当に大丈夫ですか?平壌までトイレ無いですよ。(片道2時間)
大丈夫です。
男G 本当に大丈夫ですか?
ホテルでしますから大丈夫です。
(※やたら気にしてくれて心が痛む。だが、あのトイレは慣れない・・・。)



開城にある金日成主席の銅像に移動。国中に銅像があるとの事。御前で一礼し、撮影。教会で聞くような女性の声の賛美歌?が近くのスピーカーからずっと流れていた。結婚式を迎えたカップル1組が訪れていた以外、人は居ない。


銅像の高台から開城の街を見下ろす。道路が長く伸びている。






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