訪朝 2011/08/12~



307インターナショナル
◆スペシャル北京から北朝鮮、平壌・開城4日間◆
(全日程は5日間)
日付
発着都市
内容
8/12 羽田 → 北京 北京前泊
8/13 北京 → 平壌 アリラン祭
8/14 平壌 → 板門店 → 開城 → 平壌 軍事境界線等
平壌観光
8/15 平壌 平壌観光 前半
平壌観光 後半
8/16 平壌 → 北京
北京 → 羽田
帰国



仕事で盆休みが5日も貰えたので、307インターナショナル社のツアーを利用して
北京前泊+3泊4日平壌の北朝鮮観光に行ってきた。動機は以下

・1人でも行ける海外旅行ツアーを探していたら偶然発見
・しかもガイド(護衛)2名+運転手付きで安全安心
・羽田→北京→平壌という航路の為、行った事が無かった北京にも行ける
・北朝鮮の名物アナウンサーに畏怖と尊敬の念を抱いていた
・まわりが韓国ばかり行くので敢えて北に挑戦したくなった
・本当に「ならず者国家」なのかという疑問
・仕事→家→仕事の日常に変化が欲しかった
・暑いので平壌冷麺で涼みたかった
・海外旅行が3年ほどご無沙汰
・韓国料理が好き

など、諸事情が絡み合い、この度良い機会なので行ってみる事にした。
旅行代金:35万円(北京-羽田の往復航空券、北京の前泊ホテル代、北京での送迎代、ビザ取得代行代込み)
※お盆のため北京の往復航空券が\94000円と高くなってしまった。ツアー会社に任せると中華航空指定となる。

まずは北朝鮮を知らない人の為に、北朝鮮を表す代表的な映像をご覧頂こう(※音量注意)。
ちなみに真ん中の動画と右端の動画を一緒に再生すると強盛大国迫力倍増。





この動画を観て北朝鮮に行きたいと思う人は相当の物好きだろう。
ちょっと異質な雰囲気なのはおそらく生後数ヶ月の幼児でも肌で感じるだろうけど、
そんな物好きな日本人33才会社員の旅行記です。では出発!

※ブラウザ表示サイズ100%推奨 → ※[Ctrl]+[0]キー
※撮影:三洋電機XACTI[ザクティ]DMX-CA65








現地の方へのお土産。いずれも我が国で最高品質を誇る物を選定。関東では希少品のエースコックのワンタンメンはネット通販で購入、なかでもレトルトカレーのジャワカレーは私が約50種のレトルトを食べ比べて一番美味だった物。関西出身の私は黄金糖を好んでいたが関東では純露が主流なので純露を持参、もしガイドが女性だった時の為にのりたま、紅茶も用意した。喫煙率の高い北朝鮮ではマイルドセブン等の煙草は必携。さらに空港でダンヒルという煙草を1カートン追加購入(理由は後述)。

羽田から北京へ。北京観光の様子は後日掲載。無事に帰れるか、帰れずに仕事に穴を開けないか等、不安と期待が交錯。この日の直前に北側が海上砲撃を行ったり、韓国国防相暗殺の工作員チームを送り込んだとのニュースがあった。キャンセルしたら旅行代マイナス35万円、ここまで来たら砲撃も私への祝砲と思うしかない。



北京国際空港にて平壌航空機の乗り口。北京に前泊後、平壌へ。意外に人が多く、ヨーロッパ系、中国系、北朝鮮国内の人々が見られた。北朝鮮の人は胸に輝く金日成バッジですぐ分かる。1970年代の日本人、例えるならクイズダービーの「はらたいら」さんのような雰囲気の人が多い。

北京→高麗航空。機内食の撮影中にスチュワーデスからデジカメを押さえられ、「Delete please」と。目の前で写真を消した。機内は黙認だが食事は撮影NGらしい。早くも労働教化刑確定の予感、今後の旅に一抹の不安がよぎる。前の席の中国人はスチュワーデスをアップで写しまくっていたのに(怒)。とりあえず見つからないように撮ればOK。


平壌空港に到着後、スーツケースを受け取り、荷物チェックを受ける。検査官に「ケータイ!?」と、携帯電話の有無を聞かれ、持って来ていないので「Nothing」と答えた。
しかし荷物が機械に通されると、検査官が「Degital dictionary!」という。 内容物を映し出す画面に小さい黒っぽい四角い物体が映っていた。
電子辞書なんか持って来なかったのに何だろうと思って鞄を開けて見せると、四角い物はデジカメの充電器だった。「アァ、バッテリー」、と納得してくれた。
持ち物を全部検査される事はなく、機械に通して終わり。人が多かったせいなのか、思っていた程検査は厳しくは無い。
携帯や北朝鮮国外で書かれた書籍は持っていてはいけないので持って来ない方が良いだろう。



到着口を出てしばらく待っていると、恰幅の良い男性に日本語で声を掛けられる。

Mさんですか?(※以降、私=Mと記す)
アニョハセヨ、パンガプスミダ。チョヌン M イムニダ、チャルプタッカムニダ
(こんにちわ、お会いできてうれしいです。私は M です。よろしくお願いします。)

今回の旅に同行するガイドの方だった。もう一人のガイドさんは女性の方で、2人と軽い挨拶を交わす。
男性ガイドは良く言えばがっしりした「三浦友和」で多分40才、女性は24才でとても愛嬌があり、日本にも居そうな顔立ちだった。
(※以降、男性ガイド=男G、女性ガイド=女Gと記す)

男G 朝鮮語できるんですか?
挨拶くらいです。通じました?
男G 通じますよ。

挨拶や軽い受け答えは少し覚えてきた。通じると嬉しい。
空港を出て前の駐車場に乗り込む。そして車で待機されていた年配のドライバーさんを紹介されたが、彼は日本語はできない。
乗り込んですぐに、パスポート、旅券、ビザを預かられ、空港から市内へ向かう。
日本語で会話しているし景色も山と畑の風景が続き、日本の田舎に近い雰囲気。
小雨で空は曇っていた。

日本語すごいですね。どこで覚えたんですか?
男G 私は専門学校です。
先生は日本人ですか?
男G 違います。昔は日本の植民地でしたから年配の人は日本語を話せる人も居ます。
(街中にて)この辺は平壌は水害は大丈夫でしたか?
男G この辺は大丈夫です。
男G さっきまで雨が降っていましたが止みました。Mさんは晴れ男ですね。
そうですね(笑)。(※そんな単語まで良く知っているものだ。)


さて、ここからは北朝鮮を共和国と記す。訪朝前に調べた事だが、北朝鮮の人々は自国を「共和国」、韓国を「南」「南朝鮮」と言うので、
会話はすべて「共和国」で統一した。また、無事帰国する為、旅を楽しい物にする為、彼らの言い分を素直に話を聞く事を心がけた。
反論してもガイドの心証を悪くするだけで何の得にもならないし、ガイドも楽しくないと旅は楽しくならない。共和国の雰囲気を味わう為、
真綿の如く知識を吸収する気持ちで望んだ。稀にガイドの言い分をひとつひとつ完全論破する猛者もいるらしいが、
もし現地でトラブルが起こった時、果たしてガイドは助けてくれるだろうか。

8月は丁度梅雨の時期で日本と一ヶ月時期がズレるとの事で、この旅での写真はほとんど曇り空、社会主義の暗いイメージ通りの画になってしまい残念である。
高麗ホテルへ移動。早くも金日成主席の肖像画が掲げられている建物を発見し、
(※)は会話中に思った事

おぉ、キムイルソン デウォンスニム!(金日成大元帥様)
男G そうです。こちらでは金日成さんを主席、金正日さんをチャングンニム(将軍様)と呼びます。金日成さんは永遠の主席という事で、
亡くなられてから主席制度を止めました。
男G Mさんは何の仕事をしているんですか?
コンピューター系の仕事でプログラミングとかをやっています(SEという言葉は通じないと思ったので簡単に説明)。
共和国にも国産のPC「プルグンピョル(赤い星)」がありますね。
男G プルグンピョル! そうです。ありますよ。
一般に普及しているのですか?
男G みんな使っています。
インターネットはつながりますか?
男G インターネットはつながっていません。
男G 我が国の囲碁のプログラムも有名ですよ。
ほぉー、そうですか。女Gさんも使いますか?
女G ExcelとかWordとか使っています。(※まさかの米帝のソフト。)
男G この川は普通江と言いまして、普通の川なんですが・・・(と、色々説明してくれた。)


サージン ケンチャナヨ?(写真とっていいですか?)
男G ケンチャナヨ(構いませんよ)。(この旅で何度も交わした会話。)


千里馬通りを過ぎ、ホテルに向かう途中にある凱旋門近くの道路。たまーに車が走る。





凱旋門近くの地下鉄の駅。





今回乗せてもらった共和国国産車。乗り心地は日本の物と変わらない快適さ。ドライバーさんの運転も上手だった。



北朝鮮の凱旋門
金日成主席にまつわる凱旋門。世界一の大きさなのでもうパリのそれを見ても驚かないだろう。このように観光にうってつけの巨大モニュメントが共和国にはいっぱい!


凱旋門から車に乗り込む。

男G 忘れ物無いですか?
ケンチャナヨ。(大丈夫です。)
男G 無いですか?の問いには、無いです、と答えますから、「オプスムニダ(無いです。)」と言います。
アルゲッスミダ。(分かりました。)
男G 時間があれば朝鮮語講座してあげられるんですけどね。


高麗ホテル, koryo hotel
高麗ホテルへ到着。とてもキレイ。カードキーを男Gから受け取り、1時間後にロビー集合で約束。部屋へ荷物を置きに行く。

この通路の左側通路奥に大きな全面鏡が。鏡の後ろから見られているという噂だが真相は謎。




部屋の様子。

こぎれいにまとまっている。




ホテルの窓から。平壌市全体で10万戸の住宅建設中の為、工事中の建物が多い。






このように110V、220Vの2種の電源コンセント口があり、変圧器は持って来なくても良い。さすがは「特級」の国内最高級ホテル、太陽民族の秩序と礼節の守護者でいらっしゃる偉大なる将軍様の、共和国を訪れる旅行者へのあたたかいお気遣いが感じられる。




ホテルの喫茶店でガイド2名と旅程の打ち合わせ。


男G 部屋は不自由無かったですか?
そうですね。ただ洗面所にドライヤーが無かったです。
男G そうですか、壁にかかっていると思いますが。フロントに伝えましょうか。
いえ、髪の毛が短いので大丈夫です。
男G 本当に大丈夫ですか?
ケンチャナヨ。(大丈夫です。)
男G そうですか。では注意事項についてお話します。
男G 旅行中は常に我々2名と行動して頂きます。どこかに出かけたい場合は必ず声を掛けてください。やはり反日感情を持つ人も居ますので、Mさんの安全の為です。
アルゲッスミダ(わかりました)。(※なるほど、理に叶った説明だ。)
男G 写真は人は撮らないでください。撮りたい場合は私がその人の了解を得ます。工事中の施設も撮らないでください。
アルゲッスミダ(わかりました)。(※確かに無断で撮られる方も嫌だろう、真っ当だ。また、写ったら不都合な人もいるのだろう。)
男G 水道水は飲まないでください。こちらの人は飲みますが、水が硬質ですからお腹を壊すかもしれませんので。
アルゲッスミダ(わかりました)。
デドンガン(大同江)ビールには保存の為に硫酸が入っているのですか?
男G 人間の健康を害する物は入っていません。共和国は人中心の国ですから。
そうですよね。(※デマだったのか。)
男G ツアーの日程ですけど、お伝えしていた2日目と3日目が入れ替わります。
そうですか。大丈夫です。
男G 予定の万寿台の丘(金日成の巨大な銅像がある場所)と玉流館(冷麺が有名なレストラン)は来年の主席生誕100周年に合わせて改修中ですから行けません。
その代わりモランボン(牡丹峰)という地元の人にも人気の公園に行きましょう。
そうですか、分かりました(※あの銅像は拝観したかった、残念)。いつまで改修されているのですか?
男G 来年4月頃ですね。ツアーの旅程以外に行きたい所はありますか?
金日成総合大学周辺(こっちでいう東大)、千里馬通りのルンラ食堂(ハンバーガー店)、三大星(サムテソン:ハンバーガー店)、錦繍山記念宮殿周辺あたりです。


以下をプリントアウトした物を2人に見せた。2人が朝鮮語で相談し合っている。こんなのあったっけ?みたいな様子。



男G 金日成総合大学、錦繍山記念宮殿は大丈夫です。ですがこの店(ルンラ食堂)は今は無いですね。三大星はちょっと確認します。
このホテルの近くに「星群」のレストランというピザやスパゲティの店がりますよ。そこでどうですか?
(※ほしむれ、と言っていた。現地語ではピョルムリ)
三大星が無かったらそこでお願いします。(※ハンバーガーは流行らなかったのだろうか・・・)
男G 分かりました。予算はどれくらいですか?運転手とガイドの4人分ですが。
100ユーロでどうでしょうか。(※11000円程。全員分取られるのか、まぁ1人でも寂しいし仕方無い。)
男G 分かりました。明日予約します。では夕食後、ホテル周辺を散策してからアリラン会場に向かいましょう。


ツアーの旅程は事情により現地で変更される事も珍しくないらしい。
さすがは世界を圧倒する比類無き戦略戦術家でいらっしゃる将軍様、初回の訪問では手の内を全てお見せにならず、
欲深いこの私に次回訪朝するきっかけをお与えになられたに違いない。とにかく今は「強盛大国」というスローガンのもと、
道路やマンション等各地で色々な工事が行われていたので時期が悪かったと諦めた。


調べてもらったが結局ハンバーガーの店はもう平壌には無いらしい。
打ち合わせを終え、ホテルの夕食会場へ。



初日の夕食。あと1品魚の天ぷらのような物が付いた。じゃがいものスープと焼肉、右上は忘れた。全部美味しい。初めて共和国のキムチを食べたが、南朝鮮の物より酸味があってあっさり。ここはガイド達と食べるのではなく、他に来られていた日本人の会社員38才の男性と食事。まずお互いの第一声は「何でここに来たんですか?(笑)」。私と同じく前から共和国が気になっていたらしい。

駅前。



北朝鮮の平壌駅
2011/8/13夕方の平壌駅。車もそこそこ走っている。駅前は帰宅中の人や軍人がたくさんいて賑やか。外国人の私が珍しいのかみんなに見られた。高校生が制服でコンビニ前にたむろするが如く、若い軍人がたむろしている。


男Gと話しながら駅周辺を歩く。

お二人はチョソンロドンダン(朝鮮労働党)に入られているのですか?
男G ふふっ、そうです。(よく知っているな小僧、みたいな感じ。)
凄いですね。なかなか入れないのではないですか?
男G はっはっ、そんな事ないですよ。
軍人がたくさん歩いていますが怖くないのですか?
男G 国を守ってくれているのですから怖いとかは無いです。市民のトラブルがあっても間に入って解決してくれる事もありますし。
平壌には核心階層(高い身分)以外の人も住めるのですか?
男G 決まりは無いですからね。誰でも住めますよ。
(男Gの左胸の金日成バッジを見て)私もそのバッジを持ってくれば良かったです。実は日本や中国で売られています。偽物ですが。
男G そーですか。
この格好では目立つのですかね、みんなに見られます(黒いポロシャツ+アイボリーのチノパン、周囲はほとんど人民服か軍服)。
明日は男Gさんのような格好にします(男Gはカッターシャツ+スラックス)。
男G じゃあ私が明日Mさんのような格好にしましょうか(笑)。

その後アリラン祭に行く前にホテル周辺を散策。男Gが変な気をつかって「平壌の彼女とデートしてください。」と言って2人にしてくれた。
しかし「私は後ろから付いていきます。」と。やはり2人きりにはななれない。

女Gさんも日本語上手ですね。どこで覚えたのですか?
女G 専門学校です。最初ガイドをしていましたが4年間違う仕事をしていて今回日本語は久しぶりです。(それでも普通に会話はできた。)
そういえばあまり共和国では自転車に乗っている人がいませんね(とにかく歩行者が多い)。通勤で乗らないんですか?
女G 私は地下鉄で通っています。自転車はちょっと値段が高いので買えません。
女G 私の弟がMさんと同じでコンピューターの学校に通っています。ゲーム好きですよ。
DSとかPlayStationですか?
パソコンのゲームです。車のとか・・・

生活は日本と変わりませんね。
男G そうです。同じですよ。
結構車が走っていますね。
男G 平和自動車という会社が出来てから車が増えました。
辛ラーメン知っていますか?(韓国産の袋麺)
男G あぁ、こちらでも売っていますよ。
南の物も入って来るんですね。
男G 中国から入って来ますから。(※ゲームもそうなのだろう。)






→1日目後半(アリラン祭)へ








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